初めての治験(浣腸)4泊5日12万円

浣腸 体験談

(30代/男性/兵庫県)

 私が大学生だったころの話です。私は留年で卒業延期が決定していたのですが、仲のいいグループ10人(男子6人女子4人)で卒業旅行に行こうという話があがり、盛り上がってアメリカのラスベガスへ行こうということになりました。しかし旅行費用は航空費・旅費・食事代・カジノで遊ぶお金・お土産などの費用を全て見積もると25万程度必要だということが分かりました。

 しかしそこは大学生。私自身も留年が決まっているので親に頼めるわけもありません。そこで短期間にまとまったお金を手に入れる方法はないかという話に、お金の足りていないメンバーでなりました。数日後メンバーの1人が、治験というまだ世に出回っていない薬の人体実験を行うアルバイトが大阪であり、かなり給料が高いことを調べてきました。4泊5日泊まり込みで実験を行ない、事前事後の検査までの給料を含めると12万ほど手に入れられることを聞きました。さっそくメンバーを緊急招集して6名が集まり、募集をしている医療機関へ連絡したところ、人がまったく足りていないからすぐ来るように言われました。

 翌日だったと記憶していますが、電車に乗って大阪に事前検査へいきました。給料が高い以外全く治験バイトに関する知識を有していなかったため、メンバー一同かなり不安は気持ちを抱えていったのですが、訪れた施設は一見総合病院。職員の方も白衣やナース服を着ており、怪しさは皆無。一同胸を撫で下ろしました。検査は全員無事終了し、開始日時を言い渡され一旦解散。

 そして当日。会議室のような所へ案内されます。20人ほど参加者がいて、ここからの4泊5日の予定と治験内容と該当者の発表がありました。
新薬投与はモルモットでの実験や人体実験などかなり段階を踏まえており、当該治験は世に出回る前の最終段階。危険度はかなり低いことを伝えられます。
そして初日に新薬投与後は5日間定時に血液検査と尿検査を行うだけ。ここでかなり安堵の色と、なんて割のいいバイトなんだという高揚感がメンバーに広がりました。
しかし問題はこのあとの治験内容の発表です。まず友人3名はドライアイ用の目薬。他の2人は新商品のタバコを吸うだけ。
そして私だけ便秘治療の医療用浣腸でした。もう一同大爆笑。
そして肝心の投与ですが、医師の前に出向き、当該浣腸を見せられます。CMでやっているようなスポイトのようなかわいい代物を想像していただのですが、簡単に予想は裏切られます。
なんと浣腸の見た目は直径10センチ、長さは20センチほどの大型注射器。卒倒寸前でした。
ほとんど痛みはないことを告げられ、おしりを出すように事務的に言われますが、怖いのと、ナース3名が見ている恥ずかしさで汗が止まりません。浣腸自体は全く痛くないのですが、結構な量を投与されるので不快感極まります。そして地獄はここから。この後はベッドに戻って1時間安静にし、絶対にトイレに行ってはいけないことを言われます。浣腸を受けたのは私含め5名いたのですが、もう投与30分後からはみな、冷や汗が滝のように吹き出し、強烈な便意と戦っています。1時間経過し、看護師からトイレへ行っていい旨を伝えられたときは、本当に来なければ良かったと大後悔でした。

 しかしその後は1日に3回ほど検査があるだけで、あとは用意されたマンガを読み、皆でトランプをして寝るだけでした。そして特筆すべきは食事です。飲酒・喫煙禁止なので遊び盛りの私たちには少々苦痛でしたが、食事はとても豪華でした。血液検査を繰り返すためか、ステーキや鰻丼、具だくさんの焼きそば等、入院経験者には目を疑うような食事の連続でした。そしてどれもレベルが高い。

 そんなこんなで無事治験は終了。結論はとんでもなく割のいいバイトです。1人暮らしの貧乏大学生にはまさに天国。浣腸投与は辛かったのですが、今ではいい思い出です。

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